これで損をせずに済む!投資信託を解約・損切りすべきタイミングとは?

投資信託で利益を上げる上で大切ことは、買ったファンドを適切なタイミングで解約する、すなわち利確や損切りをすることです。

人間というのは自分にとって都合のいい想定をしがちな生き物であり、価格が上がっていれば「もっと上がるはず」、下がっていれば「ここから反発するはず」と考え、判断を先延ばしにしがちです。

しかし、その考え方では、利益を得るチャンスも、損失を抑えるチャンスも逃してしまいます。

一方、投資信託のファンドは、長期保有を前提に設計されているものも多いため、あまり頻繁に売買をするのも良くありません。

今回は、投資信託での損切り・解約のタイミングについて解説いたします。

投資信託では長期保有するのが原則である理由

投資信託は、基本的に長期保有するのが原則とされています。

もちろん、短期で売買を繰り返してはいけないという決まりがあるわけではないのですが、長期保有のほうが安定して利益を上げやすいことは確かです。

その理由は以下の3つです。

投資信託は値動きが緩やかなため、短期保有には適さない

投資信託は、1本のファンドだけで十分に分散投資がなされている金融商品であるため、個別の株式や債券などと比べると値動きは緩やかです。

そのため、短期的に大きな利益を挙げるのには向いていません。

無理にデイトレードじみたことをしても、解約手数料(信託財産留保額)がかさむだけに終わりがちです。

長期保有は複利効果が得られる

投資信託を長期保有すると、複利効果が得られます。複利効果とは、利息に利息がつくことによって、利益が加速度的に増えていくことです。

例えば、毎年3%の利回りが確定している投資信託を100万円分買ったとします。

1年目に得られる利益は、100万円×3%=3万円です。しかし、2年目に得られる利益は、103万円×3%=3.09万円です。3年目に得られる利益は、106.09万円×3%=3.1827万円です。

利回りは常に一定であるにもかかわらず、毎年得られる利息はどんどん増えていくのです。短期で売買を繰り返してしまうと、このメリットが得られなくなってしまいます。

参考資料:100万円を利息3%で長期運用したときの資産変動

複利計
年数 元利合計 利息 利回り
1年目 1,030,000 30,000 3%
2年目 1,060,900 60,900 3.045%
3年目 1,092,727 92,727 3.0909%
4年目 1,125,509 125,509 3.1375%
5年目 1,159,274 159,274 3.18548%
6年目 1,194,052 194,052 3.2342%
7年目 1,229,874 229,874 3.2828%
8年目 1,266,770 266,770 3.334625%
9年目 1,304,773 304,773 3.383%
10年目 1,343,916 343,916 3.43916%

長期保有は運用のリスクが小さくなる

長期保有をすると、運用のリスク、すなわち利回りの幅を減らすことが出来ます。簡単に言えば、平均利回りに近い数字が出やすくなるのです。

例えば、平均利回り2%のファンドがあるとします。

このファンドを買うと平均で2%の利回りが期待できますが、必ずしも毎年2%の利回りが得られるわけではありません。

ときには0%になったり、-2%になったり、5%になったりするでしょう。

短期間での保有はブレが大きく、平均利回りから大きく外れた数字が出てしまうことがしばしばあります。

もちろん、平均を大きく上回る利回りが出ればラッキーですが、大きく下回る利回りが出れば損失が大きくなってしまいます。

長期保有をすれば、合計利回りを保有期間で割った1年あたりの利回りが、平均利回りに近くなります。それだけリスクが小さくなり、損失の可能性を減らせるのです。

投資信託で解約する基準とそのタイミング

前述の通り、投資信託は長期保有が前提の投資ですが、それでも売らなければならないタイミングというものがあります。

以下のような状況に面したときには、解約を検討することをおすすめします。

純資産残高が減少している

各ファンドには「基準価額」と「純資産残高」という2つの指標があります。

基準価額は、株式で言えば株価に相当するもので、通常はファンド1万口あたりの価格です。一方、純資産残高は、株式で言うところの時価総額で、ファンドの財産の合計です。

投資信託で利益を出すためには、基準価額が安い時に買い、高い時に売る必要があります。

しかし、だからといって基準価額だけに注目するのは間違いあり、純資産残高も重要な要素です。純資産残高が減少すると、その後基準価額も減少してしまう可能性が高いからです。

ファンドは基本的に、純資産残高が大きいほど運用効率が良くなり、分散効果も高くなり、手数料も安くなります。

逆に言えば、純資産残高が小さいほど運用効率や悪化し、分散効果も低くなり、手数料が高くなるとも言えます。

ファンドの解約が相次ぐと、純資産残高は減少し、手数料が高騰し、それがさらなる解約を招き、最終的には繰上償還(強制解約)となってしまいます。

全体として、純資産残高が減少傾向にあるファンドには、投資しないことをおすすめします。

なお、ファンドの運用効率が急激に悪化するラインは、純資産残高が30億円になったときと言われていますので、基本的にはこれを下回る物には最初から投資しないことをおすすめします。

余裕を持っておくならば、50億円を目安にすると良いかもしれません。

含み益・含み損が一定以上になった

投資信託で含み益、含み損が一定以上になった場合も、解約をおすすめします。

といっても、人間は前述の通り価格が上がっていれば「もっと上がるはず」、下がっていれば「ここから反発するはず」と考えがちな生き物です。

ただ漫然と「含み益・含み損が大きくなったら解約しよう」と考えているだけでは意味がありません。

あらかじめ「含み益が●%以上、含み損が✕%以上になったら売る」と事前にマイルールを定めておき、その条件を満たしたら、その場での状況にかかわらず機械的に売ることにしておくといいでしょう。

長期的に見れば、これが最も市場から退場しづらくなるルールです。

類似するファンドよりも運用成績が悪いことに気がついた

世の中にはたくさんのファンドがあります。取扱ファンド数が最も多いSBI証券では、2500本以上のファンドを取り扱っています。

これだけ種類があると、中には内容が似ているファンドもあります。

もし自分の保有しているファンドAが、似た内容のファンドBと比べて運用成績で劣る場合、ファンドAのファンドマネージャーの手腕に何らかの問題がある可能性があります。

その場合は、ファンドBに乗り換えたほうが良いかもしれません。

ポートフォリオのバランスが大きく変化した

投資信託を選ぶ時は、自身のリスク許容度に応じてファンドを選び、ポートフォリオを作成します。

例えばあまりリスクを取りたくない人は、値動きが小さい債券を中心にポートフォリオを組みますし、リスクをたくさんとってでも高い利回りを目指したいという人は、株式を中心にポートフォリオを組みます。

しかし、このように最初に設定したポートフォリオのバランスは、その後の値動きで崩れる可能性があります。

例えば、株式3:債券7でポートフォリオを組んでいたのに、株式が値上がりし、債券が値下がりして5:5になったとします。

バランスを元に戻したい場合(自身のリスク許容度が変化していない場合)は、値上がった株式の一部を売却し、そのお金で債券を買い足して、バランスを3:7に戻します。

このような作業をリバランスといいます。

自身のリスク許容度が変化した

年月を重ねるうちに、自身のリスク許容度が変化することがあります。

例えば、給料が上がった場合はリスク許容度が上がりますし、退職した場合はリスク許容度が下がります。

このような場合は、自身のリスク許容度に応じて、ポートフォリオの組み合わせを変化させます。

例えば、現状のポートフォリオは株式3:債券7だが、給料が上がったのでもっとリスクを取りたいという場合は、債券の一部を売却し、そのお金で株式を買い足して、バランスを5:5にします。

このような作業をリアロケーションといいます。

投資信託で解約するときの注意点

投資信託を解約する上での注意点をお話します。

ファンドの中には一定期間解約できないものがある

ファンドは、基本的には売却したい時にいつでも売却できますが、中には購入から一定期間は解約が認められないものもあります。

この期間を「クローズド期間」といいます。クローズド期間の長さは、ファンド毎に異なりますが、3ヶ月、6ヶ月、1年のものが多いです。

中には、運用期間中は解約できない(償還されるまで待たなければならない)ものもあるので、気をつけましょう。

解約を申し込んだ時点では売却価格はわからない

ファンドの解約の受付は、午後3時で一旦締め切られますが、解約時の基準価額は、すべての取引所での取引が終了した時点に決まります。

つまり、解約を申し込んだ時点では、いくらで解約できるのかが確定しないわけです。

この仕組みをブラインド方式といいます。相場が急激に変動している時は、想定していた価格と大きくズレが出る可能性があります。

お金が振り込まれるまで3日程度かかる

投資信託を解約しても、すぐにそのお金が振り込まれるわけではありません。まとまった資金を必要とする時は、早めに解約しましょう。

手数料(信託財産留保額)がかかることがある

信託財産留保額とは、ファンドを解約する際に投資家が支払う費用です。基準価額の●%という形で、解約代金から自動で気に差し引かれます。

例えば、信託財産留保額が0.3%のファンドを10万円分売却する場合、10万円×0.3%=300円が差し引かれ、9万9700円が振り込まれます。

信託財産留保額は、0.3%程度に設定されているものが多いですが、最近は0%、つまり無料のものも増えてきています。

まとめ

投資信託は、利益や損失を確定する、解約をするタイミングが非常に重要な投資です。必要に応じて解約ができるようになれば、利益を出せる確率はぐっと上がります。

これまでなんとなくで解約をしてきたという方、あるいは一度も解約をしたことがないという方は、この記事を参考に、解約すべきタイミングを考えてみてください。

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