「投資信託は手数料が高い!」というイメージをお持ちの方は少なくないかと思いますが、実は最近は販売手数料が無料の「ノーロード投資信託」が増えてきており、そのイメージは過去のものになりつつあります。
「販売手数料が無料ということは品質も低いの?」と思うかもしれませんが、そんな事はありません。
2781銘柄が登録されている価格.comのランキングによれば、直近3年の利回りが特に高い20銘柄のうち、半数を超える12銘柄(60%)がノーロード投資信託でした。
全銘柄2781に対するノーロード投資信託の割合は55%であることを考えると、十分すぎるほど優秀と言えます。
一方で、ノーロード投資信託といえども千差万別であり、数ある銘柄の中から良い投資信託を選ぶのには、多少の工夫が必要になります。
今回の記事では、ノーロード投資信託の仕組み、メリットやデメリット、選び方、おすすめの銘柄などについて、まとめて解説いたしますので、是非参考にしていただければと思います。
ノーロード投資信託とは?
ノーロード投資信託とは、投資信託(ファンド)の中でも、販売手数料が無料のもののことを言います。
投資信託の手数料は大きく3つがあります。
- 販売手数料:投資信託の購入にかかる手数料。0~4%程度。
- 信託報酬:投資信託の運用・管理にかかる手数料。0.2~2%程度。
- 信託財産留保額:投資信託を解約したり、売却したりする時にかかる手数料。0~0.5%程度
販売手数料はその中でも特に幅が大きいものであり、ここを無料することによって利回りを大きくアップさせられます。
なぜ販売手数料を無料にできるの?
販売手数料が無料なんて話がうますぎて怪しい、と思われるかもしれませんが、手数料が無料なのにはきちんとした(怪しくない)理由があります。
販売手数料とは言ってみれば、銀行や証券会社が投資信託を販売する際の経費に利益を上乗せしたものです。
販売する際の経費が高くなればなるほど、販売手数料も高くなるわけです。
しかし、最近はインターネットを通じた投資信託の販売が可能になったことや、インデックスファンド(日経平均やダウ平均など、特定の指標に連動するように設計された投資信託。管理がラク)が増加したことにより、販売にかかる経費は下がってきています。
銀行や証券会社はそれを還元するために、販売手数料を無料にしているのです。「質が低いから安い」のではなく、「経費がかからないから安い」のです。
もちろん、彼らは販売手数料を無料にしても、他の手数料や投資信託以外の業務などで十分利益を挙げられているため、運営について心配する必要もありません。
ノーロード投資信託のメリット・デメリット
ノーロード投資信託は何かとメリットが大きい投資信託ですが、一方でデメリットもないわけではありません。
メリットは?
ノーロード投資信託の主なメリットは、以下の2点です。
- 販売手数料が無料
- 複利効果が大きくなる
ノーロード投資信託の最大のメリットは、言うまでもなく販売手数料が無料なことです。
現状、日本における投資信託の平均販売手数料は2%と言われています。
もしあなたが、販売手数料2%の投資信託を買っている場合、同じような内容のノーロード投資信託に切り替えるだけで、実質的な利回りを2%上げることができます。
どんなに優良な投資信託を選んでも、確実に利回りが増えることはありませんが、販売手数料を下げれば利回りは確実に増えるのです。
販売手数料を下げることは、間接的に複利効果を大きくすることにも繋がります。
複利効果とは、利息に利息がつくことによって、利益が加速度的に大きくなっていく現象のことです。
デメリットは?
ノーロード投資信託の主なデメリットは、以下の2点です。
- 選べる商品が限られる
- 信託報酬が高く設定されていることがある
ノーロード投資信託を選ぶということは、言い換えれば、ノーロード投資信託以外の商品を避ける、ということでもあります。
選択肢が狭まるのは、デメリットと言えるかもしれません。
ただ、最近は、どの金融機関もノーロード投資信託の取扱いに積極的になってきていますので、数が少なすぎて困るということはないかと思います。
例えば、人気の高い楽天証券は、1000本以上のノーロード投資信託を取り扱っています。
ちなみに、ノーロード投資信託の殆どは、前述の「インデックスファンド」に該当します。
インデックスファンドとは対象的に、指標以上の運用成績を目指す「アクティブファンド」はほとんどありません。
アクティブファンドはあくまでも指標以上の運用成績を「目指す」ものであり、実際にそれが達成できる保証はありません。
むしろ、アクティブファンドの7割は、インデックスファンドに運用成績で負けているというデータもあります(大手投資信託評価会社、モーニングスターの調査で判明)。
また、ノーロード投資信託を謳った投資信託の中には、信託手数料が平均よりかなり高めに設定されているものがあります。
いくら販売手数料が無料でも、信託報酬が高くなってしまっては意味がありません。
投資信託を購入する際には、3種類の手数料の合計を比較することを強くおすすめします。
手数料以外に注目すべきポイントは?
投資信託を選ぶ上で、3種類の手数料は重要なポイントとなりますが、それが全てというわけではありません。ここでは手数料以外にも注目すべき点をいくつか紹介いたします。
純資産残高が伸びており、額が30億円以上ある
純資産残高とは、投資信託の規模の大きさを示す数値のことです。言ってみれば、株式会社における株式の時価総額のようなものです。
純資産残高が増加しているということは、資金が流入しているということであり、望ましいことです。
一方、純資産残高の減少は、資金流出を示しています。
購入後も、最低でも年1回は純資産残高を確認し、下落傾向にある場合は、売却も検討することをおすすめします。
また、純資産残高の絶対額にも注意が必要です。金額が少なすぎると、運用額に対する信託報酬の割合が高くなってしまうためです。
最低でも30億以上あるものを選びましょう。
インデックスファンドである
前述の通り、投資信託にはインデックスファンドとアクティブファンドがあります。
一応、どちらも一長一短なのですが、実際にはインデックスファンドのほうが手数料も安く、成果も高く出ることが多いです。
もちろん、アクティブファンドは成功すればとんでもない利回りを記録しますが、初心者が数多くの銘柄の中からそうした伸びる銘柄を見つけるのは(偶然を除けば)まず不可能だと思ったほうが良いでしょう。
上級者でも相当難しいことです。
ノーロード投資信託のおすすめ10選
数あるノーロード投資信託の中でも、特におすすめなものを全部で10個紹介いたします(データは2018年10月20日時点のものです。いずれも販売手数料0のインデックスファンドです)。
ニッセイ日経225インデックスファンド
純資産:約1300億円
信託報酬:0.27%
信託財産留保額:0%
東証1部上場企業約1700社の中から選ばれた225社の株式に投資する投資信託です。日経平均に連動する成果を目指します。
3種類の手数料の合計が非常に安く、純資産が多く、運用成績も安定しており、国内株式の中では理想的なノーロード投資信託と言えるでしょう。
<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンド
純資産:200億円
信託報酬:0.1718%
信託財産留保額:0%
日本の株式に投資する投資信託です。TOPIXに連動する評価を目指します。
TOPIXとは、東証1部に上場しているすべての企業の株価を元に割り出した指数で、東証1部に上場している企業から225車を選んだ日経平均とは似て異なる存在です。
TOPIX連動投資信託の中では、3つの手数料が安く、優秀です。
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
純資産:約900億円
信託報酬:0.1178%
信託財産留保額:0%
日本を除いた世界中の株式に投資する投資信託で、MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)に連動する成果を目指します。
原則として、為替ヘッジ(為替変動による資産の変化を回避する。リスクは低減されるが費用がかかり、円安による利益も得られなくなるため一長一短)は行いません。
外国株式のノーロード投資信託の代表的な存在であり、高いパフォーマンスを維持しています。
SBI・全世界株式インデックスファンド
純資産:約13億円
信託報酬:0.1080%
信託財産留保額:0%
主に「グローバル株式インデックスマザーファンド」を通じて、実質的に日本を含む世界の株式へ投資を行う投資信託です。
FTSE グローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)に連動する成果を目指します。原則として、為替ヘッジは行いません。
世界中に投資するという点では、ニッセイ外国株式インデックスファンドにも似ていますが、こちらは日本も投資の対象にしているのが大きなポイントです。
純資産がやや小さい点には留意が必要です。
三菱UFJ国内債券インデックスファンド
純資産:30億円
信託報酬:0.1296%
信託財産留保額:0%
日本の債券に投資する投資信託です。NOMURA-BPI総合指数に連動する成果を目指しています。
日本の債券に投資する投資信託の中では、3種類の手数料がかなり低めに設定されています。こちらもやや純資産が小さい点には留意が必要です。
たわらノーロード 国内債券
純資産:63億円
信託報酬:0.1512%
信託財産留保額:0%
日本の債券に投資する投資信託です。NOMURA-BPI総合指数に連動する成果を目指しています。
基本的には三菱UFJ国内債券インデックスファンドに似ていますが、年1回、10月に決算があり、分配金が配られます(市況動向によっては配られないこともあります)。
たわらノーロード 先進国債券
純資産:51億円
信託報酬:0.1836%
信託財産留保額:0%
海外(先進国)の公社債に投資する投資信託です。シティ世界国債インデックス(除く日本、円ベース、為替ヘッジなし)に連動する成果を目指しています。
毎年1回、10月に就役を分配します。世界中の債券に投資する投資信託の中では優秀です。
<購入・換金手数料なし>ニッセイJリートインデックスファンド
純資産:85億円
信託報酬:0.2700%
信託財産留保額:0%
日本の不動産に投資する投資信託です。東証REIT指数に連動する評価を目指しています。
不動産は、株式や債券とはまた異なる動きをしますが、リスクとリターンは株式と債券の中間とされています。
<購入・換金手数料なし>ニッセイグローバルリートインデックスファンド
純資産:約51億円
信託報酬:0.2916%
信託財産留保額:0%
世界の不動産に投資する投資信託です。S&Pグローバルリートインデックス(除く日本、配当込み、円換算ベース)の動きに連動する成果を目指しています。
ダイワ・ライフ・バランス30
純資産:134億円
信託報酬:0.1944%
信託財産留保額:0%
国内株式、国内債券、国外株式、国外債券の4つに分散投資する投資信託です。資産配分は、国内株式20%、国内債券55%、国外株式10%、国外債券15%です。
それぞれTOPIX、NOMURA-BPI総合、MSCIコクサイ(円ベース)、FTSE世界国債インデックス(日本は除く、為替ヘッジなし)を合成した指数に連動する成果を目指します。
まとめ
ノーロード投資信託と一口に言ってもその種類は千差万別ですが、ノーロードであること、すなわち販売手数料が無料であること自体は、非常にいいことです。
特に初心者には、投資信託はノーロードのインデックスファンドの中から選ぶことをおすすめします。
この記事のおすすめ10選も参考に、良い投資信託を選んでください。
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