FEC PROJECT#1

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 PROJECT FILE #1   亜洲身体 Asian Body

  北京:建築展 Architectural show in Beijing 2007.08.11-09.09



北京大山子芸術区(798地区)内の東京画廊+BTAPにて開催された建築展「亜洲身体・Asian Body」。MAD建築事務所の早野洋介氏が企画した本展には、日本からISSHO建築設計事務所(宮内智久&ベラ・ジュン)と中国からTCAアーキテクト(リップ・チョイ&アニー・チュン)が参加、身体によって喚起される空間装置を展示し、アジアンボディーを機軸とするこの先のアジアの空間を表現した。


コンセプト

我々は記憶を造り、空間を作る。空間を理解することは、記憶を理解することである。

記憶とは、ある体験を成立させた各構成要素が脳神経系に保存され、もたらされた入力刺激によって反応を起こし、一つのイメージとして空間を再構成する。記憶は保存されるものではなく、作られるもの。

イメージとして視覚偏重する記憶の出力形式に対し、そのシステムを起動させる入力刺激は様々な形態をとりうる。それは外部環境と脳神経系とを繋ぐインターフェイスとしての身体がその機能を担う。視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚。その知覚器官の歴史において、西洋(オクシデント)では外部環境に視覚的秩序を与えるべく、視覚が入力系の上位を占めてきた。網膜から脳神経への短距離間に行われる、視覚の入力に対する視覚の出力。このシステム中において、外部世界としてのオリエンタルも形成された。

インフォメーション革命によってもたらされた第一の到達点は、世界における視覚情報の等価化であった。文明を成り立たせるモノの見え方の収束は、それ元に形成される西洋の記憶の統一化に加速度を増す。そしてそこには等質な空間がもたらされる。

オリエンタルの世界においては、視覚よりも視覚を含めた五感を用いて記憶が成立してきた。秩序を求めるよりも、変化の中に存在する現在として空間を認識する為に、複層的な身体への入力刺激が存在した。味覚、嗅覚、聴覚、触覚という、不可避的に個々の身体というインターフェイスを経由し、消化吸収され、記憶を作り出す要素として脳神経系に蓄えられる。このプロセスを経て再現された出力としての空間のイメージは、その原型とは必然的に異なる。つまりオリエンタルにおいては、身体の等価化が行われない限りにおいて、記憶の統一化は行われず、等質は空間は立ち上がらない。

20世紀末にもたらされた世界をフラット化させるかの様に見えた情報革命は、その後に形成される西洋(オキシデント)とオリエンタルの空間、世界観の差異化を促進させることになるであろう。現在において、その不可視的な偏差を理解することは、この先の新しいオリエンタルの空間のあり方を我々に見せてくれることとなる。

「アジアン・ボディ展」は、東オリエンタル世界を形成する中国、韓国、日本より建築家、アーティストを招聘し、各作家が各々の身体が空間認識の変数となるデバイスを展示する。作者の描くアジアの身体性と、訪問者の持つ身体性が共鳴することにより、それぞれの訪問者に個別の空間体験が生み出される。その断片郡は21世紀を生きるオリエンタルの空間への入り口となる。

(MAD/早野洋介)

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